園長メッセージ
田園調布雙葉小学校附属幼稚園 園長
筒井 三都子
本園は、遠くに青く霞む丹沢山地、その向こうには富士山を望み、眼下には多摩川がゆったりと流れる、緑豊かな丘の上に建つ幼稚園です。大きな樹木が茂り、美しい花々が咲く、土の園庭で、子ども達はのびのびと遊んでいます。
本学園は、1666年、フランスで生まれた女子修道会「幼きイエス会」により、国内5番目の姉妹校として誕生いたました。1941年12月8日、太平洋戦争開戦の正にその日が本学園の始まりです。戦争に向かう暗雲立ち込める社会の中で、人々の要望に応え、まず小学校を開き、その子ども達、保護者の願いで中学校と幼稚園、そして高校を開校、開園していきました。小学校は開校と同時に校舎を警視庁に接収されるという不運な船出となりましたが、当時のシスター方、先生方、そしてご家庭は、いつも希望の光を見失うことなく神様を信頼する心で、目の前の子ども達を守り抜き、命を繋ぎ、困難を乗り越えました。初めに「子どもありき」。これは今も大切にされる田園調布雙葉学園のかけがえのない精神です。
本学園はカトリックの教えの下、附属幼稚園からの14年、または小学校からの12年を、同じ仲間と共に過ごす筒形一貫教育を行っています。この長い年月、喜びも悲しみも分かち合い、共に歩む仲間と交わりながら、子ども達は自分のありのままを受け入れ、それを表現し、同じように他者のありのままを受け入れ、他者のために自らの賜物を捧げる生き方を選ぶ人へと成長していきます。その学園生活の最初の2年となる幼稚園は、これから始まる人間形成の土台作りに力を注ぎ、次のような子どもを育てることに心を尽くしています。
・祈る心を持つこども
・心のあたたかいこども
・自分を素直に表現できるこども
・意欲のあるこども
・考えられるこども
子ども達は、毎日の祈りのうちに、神さまと出会い、柔らかく素直な心で、目には見えない神様への信頼を築いていきます。それは一人一人の子どもの心に「あなたは私の愛する子。かけがえのない大切な子。」という神様の思いが、友達、先生、おうちの方との交わりを通して届けられるからでしょう。幼いからこそ持てる豊かな感性は、幼稚園の温かい空気と共に神様の息吹を心の深くに吸い込むのです。「神様の住まいを子ども達の心に建てたい」と願われた、幼きイエス会創立者ニコラ・バレの思いは、今もこの田園調布の園に息づいています。